「自民 神谷昇衆院議員 解散前後に市議に現金配る」だそうです。

 

先月行われた衆議院選挙で比例代表近畿ブロックで復活当選した自民党の神谷昇衆議院議員が解散前後の9月に、地元・大阪府の2つの市の市議会議員に現金を配っていたことがわかりました。専門家は公職選挙法に抵触する可能性があると指摘しています。一方、神谷議員は、現金を配ったことを認め政治活動費なので違法性はないとしています。

自民党の神谷議員は、先月の衆議院選挙で、大阪・和泉市や岸和田市などの大阪18区から立候補して、比例代表近畿ブロックで復活当選しました。

神谷議員本人や複数の市議会議員によりますと、神谷議員は衆議院の解散前後の9月に地元の和泉市と岸和田市の市議会議員14人に、それぞれ10万円または20万円、合わせて210万円を配ったということです。

和泉市では、本人が秘書とともに市議会の2つの会派の控え室を訪れ、11人に封筒に入った現金を手渡し、岸和田市では秘書が3人に現金を配ったということです。

受け取った14人全員が現金を返しました。このうち1人は、その後、留守の際に神谷議員本人が自宅まで来て、再び現金20万円の入った封筒を妻に渡して帰ったため、2日後に返却したと話しています。

選挙と金の問題に詳しい神戸学院大学法学部の上脇博之教授は「選挙のための具体的な働きかけをしていれば、公職選挙法違反の買収になりうる」と指摘しています。

一方、神谷議員は24日午前、国会内で記者団に対し、自分が代表を務める自民党の選挙区支部から市議会議員の後援会に政治活動費として渡したものだとしたうえで「政治団体から政治団体への寄付行為は、政治資金規正法でも許されている。法律違反をしたという思いはなく、何らやましいことはない」と述べました。

神谷議員は、大阪府議会議員や泉大津市長を経て3年前の衆議院選挙で初めて当選し、現在2期目です。

神谷議員「法律違反には当たらない」

自民党の神谷昇衆議院議員は、国会内で記者団に対し、衆議院選挙前のことし9月、地元の市議会議員に現金を配ったことを認めたうえで、政治資金規正法にのっとった行為で法律違反には当たらないという認識を示しました。

この中で、神谷議員は、衆議院選挙前のことし9月下旬、地元の大阪・和泉市と岸和田市の市議会議員合わせて14人に1人当たり10万円から20万円、合わせて210万円を配ったことを認めました。そのうえで、神谷氏は「すぐ、全員からお返しいただいたが、自民党の選挙区支部から市議会議員の後援会に政治活動費として渡したもので、領収書も添付しており、買収するとか隠すとかいうことは全く考えていない」と述べました。

そして、神谷氏は「政治団体から政治団体への寄付行為は、政治資金規正法でも許されている。法律違反をしたという思いはなく、何らやましいことはないので、政治活動はこれまで以上に頑張りたい」と述べました。

神谷氏は、先月の衆議院選挙で大阪18区から立候補し、重複立候補した比例代表の近畿ブロックで復活当選しました。

市議たちは…

大阪・和泉市議会の自民党系無所属の辻本孔久議員は、現金を返した4日後の10月3日、留守の間に神谷議員本人が自宅まで来て、現金20万円の入った封筒を置いていったことを明らかにしました。辻本議員は「『先生にお預けください』といって現金の入った封筒を妻に渡した。受け取ることはできないので、私が2日後の10月5日に返した。どうしても受け取ってほしいという気持ちが強かったのかと思う」と話しました。

和泉市議会の無所属、大浦方至議員は「市役所の議員の部屋で秘書から封筒を手渡された。中身は見ていないが、すぐに現金だと思った。渡される際に『変なお金ではない』と説明され、『よろしく』と言われた。こういうことは初めてで、誤解を受けるのも嫌だと思い、すぐに返した」と話しています。

和泉市議会の無所属、杉本淳議員は「ことしの9月28日ごろに和泉市役所にある私たちの会派の部屋に神谷議員と秘書の方が来て『応援よろしくお願いします』と言われて、その場にいた全員が現金の入った封筒を手渡されました。中身はきちんと確認しませんでしたが、10万円くらい入っていたと思います。私は無所属ですが、自民党に所属する人はその倍の金額を手渡されていたようです。選挙が近い時期だったので選挙の応援という意味だったと思いました。その場にいた全員でこれはよくないと話し合い、私はその日に現金を返しました」と話していました。

和泉市議会の自民党系無所属の坂本健治議員は「神谷議員が急に会派の控え室に来て封筒を差し出し『領収書があるので法律には触れない』と言われた。何のことかと思い、受け取った封筒の中をあとで確認すると現金が入っていた。これはまずいと思い、会派の幹事長を通じて神谷議員の秘書に返した」と話していました。

和泉市議会の自民党系無所属の山本秀明議員は「9月下旬に神谷議員と秘書が封筒を持って控え室に来て『よろしくお願いします』というようなことを言われた。中身は見なかったが、ほかの議員から現金が入っていたと聞いた。神谷議員からは『自分が話す演説会を開いてほしい』という言葉もあったと記憶している。これはいけないと思ったし、会派の中で返却したほうがいいという結論になり、代表者が一括して返した」と話しました。

岸和田市議会の自民党、反甫旭議員は「ことしの9月末、和泉市で大阪18区の選挙の会議が開かれた後、会派の市会議員から封筒を渡された。中には現金と領収書が入っていて、宛名が選挙区支部だったので選挙活動費と思ったが、時期が時期だけに誤解が生じてはいけないと思い後日、現金を返しに行った。選挙の直前に現金を渡すのは、グレーだと思った」と話しています。

専門家「買収になりうる」

政治と金の問題に詳しい神戸学院大学法学部の上脇博之教授は「政治団体の間の寄付だとしても、選挙のための具体的な働きかけをしていれば、公職選挙法違反の買収になりうる。また、政治団体の間の資金のやり取りであれば本来は口座を使えばよく、立候補している立場で本人がわざわざ現金を手渡す必要はないはずだ。不適当だと感じて返した人たちが複数いることから見ても、本当に問題のある働きかけがなかったのか、警察や検察が捜査をするなど真相を明らかにすべきだ」と話しています。

自民 二階幹事長「しっかり説明してもらうことが肝要」

自民党の二階幹事長は記者会見で、「本人から詳細な説明や報告はまだ受けていないが、疑惑が持たれた場合は、しっかりとした説明をして納得してもらうことが肝要だ。本人が違法性の認識はないと主張している以上、何が真相か見極めてもらうことを期待したい」と述べました。

公明 井上幹事長「自民党が説明責任を」

公明党の井上幹事長は記者会見で、「自民党として、きちんと調査することが必要ではないか。市議会議員に渡ったお金がどういう性格のものなのか、純粋に政治活動に対する寄付なのか、あるいは公職選挙法で禁じる寄付行為に当たるのか、買収に当たるのかなどについて、党が説明責任を果たすべきだ」と述べました。

立民 福山幹事長「少し驚いた 金の性質がポイント」

立憲民主党の福山幹事長は国会内で記者団に対し、「少し驚いた。お金の性質は一体何なのか、選挙協力の依頼をしたのかどうかが大きなポイントになってくると思う。まだ詳細がわからないので、成り行きを見ていきたい」と述べました。

共産 笠井政策委員長「自民党の自浄作用問われる」

共産党の笠井政策委員長は記者会見で、「自民党の公認なので、政党としての自浄作用が問われる。選挙前に、このような形で、票の取りまとめを依頼したとすれば、買収の疑いがあるので、『大丈夫だ』という話では済まされない」と述べました。

 

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