財界が、保育や幼児教育無償化の財源として自民党内に浮上している「こども保険」に警戒感を強めている。日本商工会議所の三村明夫会頭は5日の記者会見で、「税財源や消費税の引き上げが正統的な議論だ」と強調。経済同友会の小林喜光代表幹事も「こども保険よりも消費税率10%への引き上げが先」と指摘し、経団連も反対する提言を出すなど反発を強めている。
三村氏は「社会全体で子供を育てる」という教育無償化への考えは支持するとしたが、それだけに税財源がふさわしいと指摘。その上で「消費増税が難しいから、こども保険が浮上していることに違和感を覚える」とも語った。
財界は、企業と働く人が保険料を負担し、子育て世帯に分配するこども保険構想には、高齢者世代の負担がないことや、直接的な恩恵が就学前の子供を持つ世帯だけに限られるといった不公平感を問題視している。社会保障負担が増加し、賃上げしても個人消費が拡大しない中、新たな負担増となりうることも懸念材料だ。
こども保険を強く提唱する自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長が、企業経営者の年金を返上することで財源に追加することを提案していることにも財界は反発する。三村氏は「資産のある高齢者の社会保障受給を抑えて、応能負担とする制度設計が必要」と指摘。小林氏も先月29日の記者会見で「返上は個人の問題で政策ではない」とし、否定的な見解を示している。
(引用:産経ニュース(http://www.sankei.com/politics/news/170905/plt1709050054-n1.html))